※この記事は2014年に書いたものですが、2025年時点の知識に基づき、一部修正・追記を行いました。
書いた当時の私は、dpiとppiの違いを正しく理解できておらず、混合して使ってしまっていました。本記事では、当時の自分の理解を振り返りながら、誤解していた点を修正した2025年版として再構成しています。同じようなモヤモヤを抱えている方の参考になれば嬉しいです。
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普段、画像解像度を「dpi」と言っているのですが、いざPhotoshopで確認すると「ppi」と書いてあります。
・・・ん?「ppi」ってなんだ?!と、そういえばdpiの意味もよく知らなかったので、調べてみました。
以下からどうぞ。
目次
1、そもそも、解像度って?
2、解像度の単位とは?
3、dpiとppiは混合されがちだけど本来は別の意味
まとめ
1、そもそも、解像度って?
簡単にいうと、写真などのイメージの「密度」を数値化したものです。
解像度の数値が高ければ高いほど、よりきめ細かい綺麗なイメージ(高解像度)ということになります。
解像度の違い
“Resolution illustration“. Licensed under Public domain via ウィキメディア・コモンズ.
2、解像度の単位とは?
解像度を表す単位は、一般的に「dpi」がよく使われます。
1インチ(25.4mm)の1辺にドットが何個並んでいるのかを、この単位で表します。
じつは、解像度の単位はdpiを含めて3つあります。
dpi(dots per inch) = 印刷のドット密度

- どこで使う?:プリンターなどの出力機器
- 何を表す?:1インチあたりのドット(インク粒)数
プリンターの場合は、どこまで細かくドットで出力できるか。スキャナーの場合は、1インチあたりのドット数でどこまで細部を読み取れるかを表します。
ppi(pixels per inch)= 画面のピクセル密度

- どこで使う?:デジタル画像やディスプレイ
- 何を表す?:1インチあたりのピクセル数
画像データを印刷する際、「この画像を何ppiで出力するか(=1インチあたりに何ピクセル使うか)」を設定します。Photoshopで「画像解像度」と書かれているのは、このppiのことです。
lpi(lines per inch)= 印刷の網点の密度

- どこで使う?:雑誌や新聞などの商業印刷
- 何を表す?:1インチあたりの網点の密度
網点(ハーフトーン)とは、写真などの濃淡を、細かいドットの「大きさや密度」で表現する印刷の技法です。主にモノクロ印刷ではドットの大きさで、カラー印刷では密度+角度(AMスクリーン)などを組み合わせて濃淡を表現します。
3、dpiとppiは混同されがちだけど本来は別の意味
昔から現場では「300dpiで入稿してください」などと表現されることが多く、dpiとppiが混同されることはよくあります。
ただし、厳密には画像をディスプレイで見るか、印刷するかによって役割が異なります。
lpiも含めて例えるなら⋯
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ppi:ディスプレイの“解像度”=画面がどれだけ細かく見えるか
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dpi:プリンターの“精密さ”=どれだけ細かく印刷できるか
- lpi:写真を新聞で印刷する“再現技術”=どれだけキレイに濃淡を再現できるか
なので、Photoshopなどのソフトウェアでは、画像解像度としてppiが使われており、dpiとは役割が異なるものです。
…と、ここまで書いておいてなんですが、この記事を最初に書いた当時の私は「dpiとppiはだいたい同じ」くらいの感覚で使っていました。ですが調べてみると、じつは「画像の密度(ppi)」と「印刷機の性能(dpi)」はまったく別の概念。
今となっては、混同していたことを少し恥ずかしく思いますが、当時の自分のように疑問を感じた方に向けて、改めて整理しておきます。
+α:よくある誤解

「300ppiの画像は、印刷すると150dpiになる」
これは誤りです。当時の私も上図のような表現にしていましたが、ppiとdpiには直接的な換算関係はないので注意してください。
むしろ、印刷では「1ピクセルを再現するのに複数のドット(dpi)を使う」ため、300ppiの画像を印刷するには、600dpi程度のプリンターが使われることが一般的です。
+α:もうひとつ、ドットで混合しがちな「lpi」
印刷をルーペなどで拡大すると見える点はlpiによる網点であり、dpiそのものではありません。私もこの記事を書いた当初は勘違いをしていました。
雑誌や新聞などの商業印刷では、写真のような濃淡を表現するために、小さな点(網点)を等間隔に配置して、大きさで濃淡を再現します。このときの密度を表すのが lpi(lines per inch) です。
lpiとdpiの違い:
- lpi:見た目の濃淡を表現するためのドットの大きさと並び方を表す
- dpi:実際にインクを落とせる物理的なドットの精度
網点(lpi)を実際に印刷するために、より高いdpiが必要になるという関係になります。たとえば、175lpiの印刷物を再現するには、通常その2〜4倍程度のdpi(350〜700dpi)が必要とされます。
まとめ
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「画像の密度(ppi)」と「印刷のドット密度(dpi)」は役割が違う
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雑誌や新聞などのハーフトーン印刷では、網点の密度(lpi)が使われる
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Photoshopでいう「画像解像度」はppiのこと
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昔は「dpi」とまとめて呼ぶことが多かったが、今はppiと明確に区別して使うのが正確
昔の私は「dpi=画像の解像度」と思い込んでいて、Photoshopの解像度もdpiとppiどちらでもOKだと思っていました。でも改めて学んでみると、本当に大切なのは、用途に応じて正しく使い分けることなんだと気づきました。この内容が、同じように悩んだ方のヒントになれば嬉しいです。



